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マルチタスク

2018年10月01日

現代の「デキる」ビジネスパーソンの必須条件の一つ、それはマルチタスクに耐えられることです。いや、これは何も今に始まったことではないのかもしれません。1人で仕事をしているのならいざ知らず、チームで仕事をする上では、やり慣れている限られた業務を一つ一つ順番にでないと出来ないという人材は、その限られた業務がいかに専門性の高いものであっても、なかなかに活かしにくいものです。チームとは人間というアナログで不確実な、しかも極めて予測性に欠ける存在の集まりであり、計画というものがすこぶるそぐわないものです。早い話が、色々な種類の予期せぬ問題が、時を選ばずに同時進行で起きる。そういう状況に対応していくにはチームメンバー間のあうんの呼吸による連携が必須なわけですが、そこに一つのことでテンパってしまう人がいると、どうしても組織の呼吸が乱れてしまうわけです。

最近は専門スキルだの知識だのがもてはやされる傾向があり、あたかも専門性重視の時代が到来したかのような幻想を抱かせる物言いもよく聞かれますが、そんな時代はどこを見渡してもやっぱり来ていない。むしろ新しいことにチャレンジしなければいけないような難しい課題が増えており、チームで対応しなければどうにもならないという状況は逆に増えているのです。マルチタスクに対する需要も増加の一途をたどっていると言えるでしょう。


 マルチタスクというと、巷の「効率的業務遂行法」みたいな研修ではよく「仕事にプライオリティーをつけて」などと言っていますが、あれは私には意味がわかりません。マルチタスクというのは、すべての仕事を求められる時間と品質でこなさなければいけないからマルチタスクなのであり、デジタルに何かのプライオリティーを落としてしまっては、もはやマルチタスクではないのです。実際に仕事の現場では、「その仕事のプライオリティー」を云々する議論はつまりは「その仕事はやりません」という宣言と同義であり、たとえプライオリティーの高い仕事が片付いたからと言っても、切られた仕事がその後行われることはありません。そりゃそうです。結局それらの仕事は両方とも、プライオリティーの議論が為されている間にマルチタスクができる人達に片づけられて、なくなってしまうのですから。

マルチタスクを行うために必要なこと、それはプライオリティーをつけることではなく、まずは周りで何が起きているのか、自らに求められていることは何なのかを察知する感性です。この際、自分の世界に入り込む集中力というのは、マルチタスクには大きな障害になります。集中力という意味では、一つの業務だけに集中してしまうというのもよくありません。複数の業務に常に意識を置きながら、適宜各業務に対する意識の配分を変えていくことがマルチタスクには必要になります。つまり大切なのは集中力より“散漫力”。そして、求められていることを求められている質で行うこと。繰り返しになりますが、常に周りから求められている質とスピードに答えていくことが大切なのであり、自分の納得感や心配の払しょくのために、求められる以上に高品質ではあるがスピード感がないというような自己中心的発想はNo、 Noです。

マルチタスクには、集中力より適度な“散漫力”が大切。とすると集中力を高めるような修養はマルチタスク力を阻害することになりかねないわけですが、そのリスクを大きくはらむ3大リスク for マルチタスクは、

1、勉強   2、スポーツ   3、芸事

であると私は考えています。詳しく説明する必要はないと思いますが、この3つはどれも上達するためには集中力を必要とするものであり、散漫な頭では決して良くなりません。

 まあ、そうは言っても、受験勉強をしているうちの息子が最近は少し真面目に取り組んでおり、明らかに教養が高まってきて我々と深い話ができる場面が増えてきたことなどを鑑みるに、勉強はやらなくていいというものではないでしょうし、それはスポーツにも芸事にも言えることでしょう。

ただ、やはりマルチタスクの時代を生き抜いていくにはそれだけではだめだということです。意識して“散漫力”を習得するトレーニングをしていく必要があります。ということで私は、片方ずつの耳に違うイヤホンから日本語と英語を入力しつつネット囲碁を闘うという“散漫力”トレーニングを日々実行しています。皆様もぜひお試しあれ。

 

代表取締役 CEO  奥野 政樹

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