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やることがある 

2022年05月01日

 土曜日。朝から憂鬱です。まずはスポーツジムに行かなければいけない。トレーニング内容は変わらなくても年々キツクなっていきます。特にトレッドミルは地獄。つい何年か前までは何でもなかったスピードなのに息も絶え絶え、喘ぎながら走ります。必然的に目立つのか、トレーナーの人がじっと見ています。そしてマスクが落ちると見るやすぐに飛んできて、「すいません。マスクお願いします。」と注意を受ける。まったく、一台ずつパーテーションで区切られていて、しかもそれぞれ窓を向いて走っているのに、マスクに何の意味があるのかわかりませんが、決まりは決まりなのでしょう。更には、これだけ努力しても全然痩せません。やはり加齢に伴い代謝が落ちているということなのでしょうか。

 昼過ぎ、とりあえず一日の一番憂鬱なところを乗り越えて帰宅すると、今度はトレーニングギアを楽譜に持ち替えてピアノレッスンへ。先生の数えるリズムという怪物に縛られながら、汗をかきかき鍵盤との格闘です。それが終わると、「あー、やっと休みだ!」という開放感に満たされます。行きつけのレストランで昼ビールを飲みながら遅いランチ。ここはWi-Fiも完備だから心置きなくYouTubeも見られます。「何を見ようかな。」と、推薦動画に永ちゃんのYAZAWA Channelが表示されました。「久々に見るか。」と動画を開くとボスが語っていました。

 20年位前のものでしょうか。ボス語って曰く、「結局さ、俺にはやることがある。よくサラリーマンの人が行き詰まっちゃうのは、ここのところじゃない?やらされてる感でただやっているのは、ただ長く働いていてもやることがあるとは言わないわけよ。」ドキっとしました。いくらボスのお言葉でも、サラリーマンをやったこともない人に言われるのはちょっと納得もいきません。でも、「まあ、当たってるんだよなあ。」と思います。考えてみると、永ちゃんのような個人事業主の周りではたくさんのサラリーマンが動いているのであり、感覚の鋭い人には本質が見えてしまうのでしょう。

 「やらされてる感」。よく聞く言葉です。やらされてる感で仕事をしているものは、使う方から見たら確かに使えません。そして確かに行き詰まっている。しかも日本のサラリーマンにはそういう人が多い。改めて、恐る恐る自分を振り返ってみました。今までやらされてる感で仕事をしたことはないか。「うーん。」…実は無いわけです。それはなぜか。まず第一に、そういう状況になったら私の場合は仕事をしないからです。そんなことは誰かやりたい人がやればよい。何も無理に私がやらなくてもできる人はいくらでもいる。それと更にもう一つ。振り返ってみると、自分はこれまでずっと、やらされてる感を持つような仕事をやることにだけはならないようにと振舞ってきているのです。また、それでも生きて行けるように自己研鑽もしてきています。それは傍からみると自分勝手に映ることもあるようで、随分と批判やご忠言をいただいてきたような気もしますが、そういうことは一切気にしませんでした。

 ボスは、「サラリーマンにもキラキラ輝いている人もいるけどね。」と付け足しみたいに言っていましたが、もしかしたら自分はどちらかと言えばそっち側なのかな、という気もします。仕事柄、よくアメリカ人と付き合います。まあ、口先先行的なところがままあり、そのぶち上げに振り回されて、結局コツコツと細部を押さえていくのはいつも日本人となる傾向はあります。いろいろと突っ込みどころは多い。でも、アメリカ人で「やらされてる感」とか言っている者は見たことがありません。そもそもそういう概念が無いから、この言葉は英訳できないのではないでしょうか。彼らは確かに、いつもエキサイティングなものを追い求めてキラキラしています。その光がどこを照らしているのかは人それぞれで、必ずしも焦点が合っているとは言い難いものの、一緒に仕事をしているととりあえずこちらもパワーが湧いてきます。

 対して日本のサラリーマンは、一言でいえば暗い。「やらされてる感」を唱える者に「仕事なんだから、そんなに好きなことができるわけがない。我慢しろ。」みたいな説教をしているのをよく見かけますが、こういう「我慢」という後ろ向きの姿勢の強調が更に暗さを増幅するのではないでしょうか。「やりたいことをしたいなら努力せよ」が本来正しいのです。

 やらされてる感に苛まれていると、言語能力を急速に失います。自分をきちんと表現できなくなる。日本はもともとそうなのに、コロナ禍になってからと言うもの明らかにその傾向が強まっています。その証拠に、受け取るメールで意味不明なものが物凄く増えています。これではいけないと思います。優しさとか末永くとか言っている場合ではないのではないでしょうか。もっと、自分がやることをガリガリとやるべきなのです。

 

代表取締役 CEO 奥野 政樹

 

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