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久しぶりの取材

2022年11月01日


 以前は、よく取材を受けました。とは言っても当社のような無名の企業や私のような平凡な人間を本気で取材して取り上げたいというメディアなどあるわけがありません。ごく稀な例外として、何かの団体の会報で「大人の習い事」のような企画があり、そこの広報の人に頼まれて私が習っているピアノについて取材を受けたことがありました。しかし、他は皆、ビジネス・マッチング、ビジネスの玉集めのための情報収集や広告ビジネスのためにこちらがお金を払って取材してもらう、といういわゆる記事広告ばかりでした。当然、取材元が当社や私に興味があって何かを聞きたいというわけでもない。取材準備など、殆どしてきません。「社長の経歴についてご説明ください」とか「御社の商品の魅力は何ですか?」といった、少し当社のホームページなどを見れば分かるような質問ばかりです。それでも、最初のうちは、なんとか目立って良いPRをしてやろうと、気合を入れてエッジの効きそうなことを答えていたわけですが、それで特段、何か宣伝効果があるわけでもありません。段々と飽きて来て、近年はそういった取材のお話は基本、お断りするようにしていました。

 すると最近、とある業界団体の会報に載せたいから当社の取材をしたいと申し入れがありました。なんでも、団体会員の取材記事を順次連載しているようです。どうやら、当社の順番が回ってきたようです。「御社の商品でも社風でも、何でも自由に宣伝したいことを、どんどんPRしていただいて結構です。」とのことでしたので、「相変わらず、別に当社には興味なさそうだなぁ」と最初はあまり乗り気になれなかったのですが、どうも、この団体には当社の広報担当が日頃、一方ならぬお世話になっているようです。無下にお断りするというわけにもいかなそうです。であれば、「当社の、どういうところに興味があり取材がしたいのか?当社からどんな話が聞きたいのか?」を聞いてもらったところ、どうもこの逆質問に、先方は相当困惑されているようでした。私としては「御社の国際性について取材したい。御社は外国人社員も多いですよね。」とか「最近、親会社でM&Aがあったようで、御社もそれに振り回されたんじゃないですか?そのあたりの奮闘記みたいなことを聞きたい」といった回答を期待しているわけです。いただいた回答はそういう当社の何かに強い光を当てたものではなく、過去の質問の例などが例示されていました。ただ、この例にこだわらずPRしたいことを思う存分にPRいただいてよい、というものでした。なんとも噛み合わないものの、私から逆質問されて先方も当社のホームページを再度、よく見ていただいた節もあり、なんといっても日頃、大いにお世話になっているのだそうですから、取材を受けることにしました。

 取材当日。こちら側は私のほかに中村事業戦略担当VPと吉川技術担当VP。取材を受ける準備は一切していません。ただ、その場の雰囲気と流れに応じて話す。ただ、それだけです。最初の質問は、「御社の設立経緯についてお聞かせください。」というものでした。すかさず私は「当社の設立経緯について何をご存じですか?」と逆質問。もし、これに気の利いた答えをいただけないようなら、取材は、15分ほどで終わっていたと思います。しかし、嬉しいことに「最初、日米のジョイント・ベンチャーからスタートされたんですよね。」と実に的を得た回答。それでは、ということで、そこからは当社の20年余りの激動の歴史の序章ともいえる最初の5年ほど、大混乱期のことを材料に、思いつくままに回想を述べました。私が何か言えば、吉川がすぐ「あー、ダメダメ、そんなこと言っちゃ、書けないから」と制止する横で、中村が「いや、実は、もっとひどかった」と火に油を注ぐ無秩序ぶりで、取材している方にはかなり引かれているようにも感じましたが、構わず続けて気が付けば1時間半余り経っていました。大分時間も押しているようでしたので、そのあと少々慌ただしくいくつか質問を受けましたが、いずれも、こちらの回答はまったくまとまりのないものです。結局、当社が何をやっている会社であるとか、どういうサービスを提供しているといったような話は殆どせず終いでした。

 まあ、さぞかしまとめるのが大変であろうと少々心配していたところ、原稿が上がったのでチェックしてくださいとご連絡をいただきました。本来、取材なのだからこちらがチェックをするものでもないのではと思いますが、まあ、折角なので見せていただくと、とてもよくまとまっていました。おそらく、その後当社のホームページと格闘し、我々の意味不明な話を読み物として仕上げていただいたのではないかと思います。大いに感謝いたしますが、タイトルがちょっと私の思うところと違っていたので変えさせていただきました。最初にいただいたものは「打倒、理屈!」。この世の中に付加価値をもたらすというのは、確かに当社の企業理念に書いてあるのですが、もう、大分前につくったものですし、最近の私の信条は、「世の中の役に立つことよりさ、毎日の仕事でワクワクすることの方が大事じゃないのかな。くだらないセオリーよりも思い切って行動することで得られるものがある」です。これに変えさせていただきました。

 さて、少しは反響があるでしょうか。掲載誌の発行予定は11月中旬。楽しみにしています。

 

代表取締役 CEO 奥野 政樹

 

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