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法人向けクラウド・ネットワークサービスのUnitas Global

この35年~36年のデジタル化の流れとその生産性

2023年05月01日

 身近な親族がこの春大学を卒業して就職しました。ふと思うと私が就職したのは1988年の春ですから、今年は、社会人35年目が終了して36年目に入ったということのようです。学生時代に力を入れたこと、いわゆる「学チカ」にエッジが立つものもなくて、かなり退屈な学生生活だったので、社会に出るとやることは与えてもらえるし、職場には同じ目標を持つことを余儀なくされる同僚もいるので友達作りに苦労することもないし、社会というのは随分と楽なところだなというのが正直な感想でした。特に私が最初にあてがわれた仕事は歌舞伎町を中心とする新宿エリアの電話料金回収だったので、通常ではなかなかお話をすることのできない親分さんやチンピラと呼ばれる舎弟の方々、更には水商売に従事するお姉さま方々など個性溢れる面々の事務所、職場、お宅にお邪魔し、腹を割ったビジネストークをする機会をたくさんいただき、学生時代の退屈とは打って変わって刺激溢れる生活でした。

 そんな中、へーっと感心したのは職場にあったコンピューターの端末で、これに任意の電話番号を叩き込むとその詳細な契約者情報がたちどころに表示されるということでした。なんでも、その情報を外部に漏らすようなことがあれば、刑務所行きものなのだそうで、そんな重大な情報がこんなに簡単にアクセスできるということに少し恐ろしさも感じましたが、世の中の技術というのは知らないところで随分と進んでいるものだなあと新鮮な驚きを感じたものです。

 私は字が下手で、「お前の書いた督促記録は判別不能。もっと丁寧に書け」とよく怒られたので、自分で買った書院というワープロを持ち込んで督促記録を作ったら「そうやってカッコつけるな。上が見て、こりゃいい。これからはみんなこれにしよう、なんてことになったらどうすんだ。」ともっと怒られました。しかし、結局その後職場にはオアシスという大きなワープロが大々的に導入されることとなり、書類は皆それで作成することとなりました。ただ、これは日本語入力でとても使いにくかったので私は自分だけまた手書きに戻りました。

 そうこうするうちに1992年、私は会社に米国へ留学をさせてもらうという好機をいただきました。オアシスを使えない状態もそろそろ限界で、行き詰っていた時だったのでラッキーだったのですが、どうやら米国ではなんでもタイプライターで打たなければいけないということで、今度はブラザーのタイプライターを購入し、それとともに渡米ということになったわけです。誤タイプしても後消し可能、カタカタとバーがバックして間違いを白塗りできるというのが自慢の機能で、これで夜な夜なカタカタと100ページの論文などを書いたものです。しかし、1994年の帰国間際に突然、タイプライターは出番を失い、カタカタ音のしない小型テレビみたいなものを持ち歩くことが急に増えました。これも、コンピューターの普及によるものだということでしたが、なんか面倒くさそうなので私はそのトレンドを無視して、やはりタイプライターでカタカタしていたものです。

 いよいよ帰国となり、帰ったらまたオアシスかと些か憂鬱だったのですが、なんと職場からオアシスは姿を消していました。そしてその代わりに一人一台会社から与えられたのが例の米国で無視していたコンピューターだったのです。そしてこのコンピュータが持っている機能は単なる文書作成機能だけではありませんでした。字以上に絵が下手な私でも簡単に図表を作成できる機能もついており、しかも、それを瞬時に別々の遠方にいる複数の人に送ることもできた。更に驚いたのは、気ままに思いついた言葉を打ち込むとそれに関連する説明や情報を大量に放出するという検索機能なるものがついていました。今、野茂が投げてるけど、好投してるかなあ、と「野茂 速報」と打ち込むと即座にライブ情報が常時わかるという優れものです。このとき確かにすべての常識が変わりました。これは、革命でした。それから30年近く、パソコンの処理能力は上がり、小型化され、更にそれはスマートフォンやタブレットという形でポケットやカバンに入れて持ち歩けるようになりました。情報の検索対象も文字情報から動画に広がり、対象も有名人や有名な場所等だけでなく、普通の個人の情報でもSNSなどで広範囲に検索できるようになりました。買い物もできます。最近は、テレビ会議も当たり前だし、AIなるものが友達の代わりにもなってくれる。

 しかし、この30年の進化はすべて94年の革命の延長線上にあり、それを超えるものではありません。では、94年の革命で何が本質的に変わったのか。それは、人間が声ではなく情報によってコミュニケーションをするようになったということです。それが第三次産業革命の本質だとして、果たして、それは人間の生産性を高めたのか。私にはどうもそうは思えません。この30年、少なくともホワイトカラーの生産性は年々落ちていると思います。誰も何を決めない状態から誰も何も考えないを通り越し、今は誰も何もやらないのステージに入ってきているように私には思えてなりません。

 新入社員研修にはマニュアルがあり、そこには、「ここで一度新入社員を落とす。」などと書かれた台本にそって「お前らは、現実が見えていない」などと声を張り上げている講師もいる今日この頃だそうです。世の流れにはなかなか抗えないものですが、私は、年寄りと言われようがなんだろうが35~36年前に味わった刺激を忘れたくないし、自分の周りには伝えていきたい。改めてそんなことを思いました。

 

代表取締役 CEO 奥野 政樹

 

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