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電波時計なのに、ただのクォーツ時計!?

2015年10月27日

~電波時計改造奮闘記(前編)~

10万年に1秒しか狂わない電波時計。最近はGPS時計も現れて、そんなに正確な時間が必要なのか?という考えもあります。我々インターネット関連を扱う者にとっては、時計といえば“NTP“ということになりますが、より正確なPTP(Precision Time Protocol)も出てきています。

本来なら、このPTP技術に関してお話しする方が皆様にはご興味があるのではと思いますが、その期待を裏切って、わが家の電波時計についてお話ししようと思います。

我が家の電波時計は「我が家の標準時」を示す目的で、数年前に鉄筋コンクリートのリビングに颯爽とその姿を現しました。電波時計とは、改めて説明をすることもないと思いますが、日本では福島と九州からの標準電波(福島40KHz、九州60KHz)を受信することによって時間を合わせています。ですから、この電波が正しく受信できないと、ただのクォーツ精度の時計になってしまいます。我が家は東京の西部にあり、距離的には福島からの電波を受信できればいいのですが、マンションのような鉄筋コンクリートの部屋では受信できないことが多いのが現状です。もちろん、“窓際に持っていく”、“時計の位置や向きを変える”という受信対策がメーカーからも出ていますが、我が家の電波時計は「壁掛けタイプ」、いちいち、電波を受信するために壁から外すのは面倒。ましてや位置や向きを変えるなどと言うのは、リビングの美的観点から許せません。というわけでこの時計は、長年ただのクォーツ時計として働いてきました。

しかしながら、せっかく電波時計として生まれてきたのに、その役割を果たせぬままでよいのであろうか。電波が受信できないために、一日に幾度となく電波を探し、必死に受信しようと試みている時計が、なぜか、とてもいとおしく見えてきたのです。「よし、思いっきり受信させてやろうじゃないか。」「時報(注:地デジTVの時報は正確ではありません)と共に12時を指す秒針が見たい。」この思いで、“電波時計受信改造計画“を始めました。

とりあえず、ネット上で同じことをやっているブログなどを検索してみた結果、結構、同じことを試みている人がいることがわかりました。ただ、方法が美しくない。皆さん一様に、内蔵しているアンテナを時計の外に出して受信しやすいベランダや窓際に設置し、そこから時計までをコード(なぜか、UTPケーブルが多い!)でつなぐという方法か、外部にアンテナを別途用意して時計につなぐという方法です。しかし、時計からコードが出ているなんて美しくないではないか!メーカーは外観もデザインして作っているのです。それを変えてしまっては、時計メーカーに申し訳ない。

図1図2

そこで私の改造方針は、外観の変化はない(わからない)ということにしました。加えて、可能な限りコストを掛けないということです。GPS時計にでも替えてしまえば、手っ取り早く、正確な時刻を見ることはできます。

まずは、我が家のリビング内で、果たして40KHzの標準電波が受信できる環境にあるのかどうかを確認することから始めました。電波時計の目覚ましを持って、リビングで電波の受信状態をみます。電波時計に入っているアンテナは、昔のラジオのようなフェライトのバーアンテナです。このバーアンテナには指向性(電波を捕えやすい方向)がありますので、時計の向き(内蔵アンテナの向き)によって受信状態が変わります。昔、テレビのアンテナを東京タワーの方向に向けたみたいなことです。(歳がばれるか!)いろいろとやってみると、壁掛け時計のバーアンテナの指向性が福島方面に向かっていないことがわかり、時計の向きを変えることによって、受信状況が若干改善することがわかりました。ただ、時計の位置や向きを変えてはいけないのが今回のルールです。

一応、アマチュア無線の免許を持っている私です。内蔵のバーアンテナとは異なる指向性を持ち、時計の内部に入れることができるアンテナを作れば、何とかなるかもしれない。「遠距離ラジオの受信などに使うループアンテナ」なら、時計に内蔵することができて、且つ指向性もバーアンテナとは異なる。さっそく、20mほどのエナメル線を時計内部(正確には外枠と内枠の間)に巻き、ループアンテナを作りました。

図3

ただ、受信目標は長波帯、AMラジオの周波数は500KHz~1600KHz程度で中波帯です。今回は40KHzを受信します。昔のラジオはバリコンといって、つまみを回して放送が聞こえるようにしました。今回は単一の周波数なので、つまみを回して選局する必要はありません。40KHzに同調(いわゆるラジオの選局と同じ)されるためには、コイル(今回は時計に仕込んだループアンテナ)とコンデンサー(ラジオのバリコン)の組み合わせで行います。お分かりの方には言うまでもないですが、コイルの特性として、高い周波数は通りにくく、一方、コンデンサーは低い周波数が通りにくいです。つまり、コイルとコンデンサーの組み合わせで同調する周波数が決まるということです。そのためには、このループアンテナのインダクタンスを測定する必要があります。しか~し、手元にあるテスターでは、コイルのインダクタンスを測る機能がありません。まあ、ネット上にはコイルの線の太さやループの直径などから、おおよその数値を出す計算式は出ていますが、やはりちゃんと計測したい。と言っても、インダクタンス計は安いものでも数千円します。これでは、コストを掛けないというポリシーに反します。ではどうするか?インダクタンス計もついでに作ってしまおう。「自作インダクタンスメーター」と検索すれば、いろいろと出てきます。その中から、手持ちの部品で作れるようなものを見つけ、作ってしまいます。
これでアンテナのインダクタンスが分かれば、それに合わせた容量のコンデンサーと組み合わせるだけです。

一応、計算式は、
f(周波数)=1/2π√LC (L:インダクタンス C:コンデンサーの容量)

周波数は40KHz、Lは測定値ですから、Cのコンデンサーの容量は計算で出てきます。

図4
そして、このループアンテナを電磁結合という方法で内蔵のバーアンテナと結合させます。
と言っても、単にアンテナからの電線を伸ばして、内蔵アンテナに巻きつければできます。
(この辺りは、ループアンテナで検索していただければいろいろと出てきます。)

さて、これで無事受信できると思いましたが、なぜか時間を合わせることができません。確かに受信状況は良くはなっていますが、電波時計の仕組み上、数分間(2~3分間)は安定して受信する必要があるようです。受信状態を示すLEDを見ていると、1分未満で点滅し、また点灯という状態です。取説によれば、これは電波の受信が安定していないとのこと。

う~ん、どうしよう。

と言う訳で、私の電波時計改造計画は、第二ステージへと進んでいきます。

(次回後編へ続く)

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