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セミナー直前、AIと創造性について少し語ってみる

2016年05月11日

はい、今週木曜日にはセミナー「ディープラーニングはブラックボックス ~人間的思考法を獲得したAIの行き着く先~」を語る予定になっていますが、人間ドックやらで全然原稿に手がつかない技術部長です。おかげさまで定員を超えるお申し込みをいただき誠にありがとうございます。今回はセミナーでご紹介する内容を少しだけ、このブログで語ってみたいと思います。(なお、毎度のことながらご紹介する内容やリンクにつきましては最新のトレンド紹介となり、当社との特別な関係を示すものではございませんので、リンク先の内容につきましては自身のご判断にてお願い致します)


ディープラーニングと創造性
ディープラーニングは人間の脳を模倣しているため、「人間の脳が持つ創造性」も再現できるのではないか、という考えもあるかと思います。そんな、一昔前(10年くらい前)ならSFのネタ話でしかなかった「創造力を持つAI」も、今や実際にプロジェクトとして存在しています。驚きですね。

いくつか最近のニュースなどから拾うだけでも、

次のレンブラント — The Next Rembrandt Project (外部リンク、英語)
日本語でも各所で取り上げられたのでご存知の方もいるかと思いますが、画家レンブラントの「今までの作品を全てスキャンして、ディープラーニングで解析し、新しいレンブラントの作品を作り上げる」プロジェクトによる、「レンブラントの新作」が公開され話題となりました。3-Dプリンティングで油絵の乗り具合まで再現するという凝り様です。

ディープラーニングで Jazz作曲 — deepjazz (外部リンク、英語)
Jazzは即興音楽ではありますが、Jazzの名曲をDeep Learningで解析して、Jazzを作曲するプロジェクトがGitHubなどで公開されています。SoundCloud上で、実際の反復学習結果の曲も公開されています。

など絵画、音楽に至るまで実際に動作するものが出てきますし、GitHubで公開されて自由に使うことすらできるわけです(実際にディープラーニングで作られた「絵画」にオークションで値段がついたニュースもありました) 。

さて、実際に「創造性」を発揮しているように見えるAIですが、実際は既存の資産を学習し、その資産のコンテクストに合わせた作品を模倣しているだけですから、逆に全く新しい芸術を作り上げることはできないのかもしれません。しかし考えてみると、人間の創造性も「模倣」に始まり「今までのコンテクストを理解し、それから外れた新しいものを作り上げる」ことで発揮されるわけです。

模倣が可能な現在のディープラーニングは、つまり既存資産の「コンテクスト」を人間の脳と同じように何らかのデータとして持っており、そのコンテクストに合わせた模倣を行うようにチューニングされているのです。あえて既存のコンテクストを模倣しないようにすることで、全く新しい作品を生み出すことも可能なのではないでしょうか。

AIが人間同様の創造性を発揮できる、それはつまりAIが人間の創造性を試しているとも言えます。例えば画家が新しい作品を仕上げた時に、それが既存の作品をディープラーニングしたAIによる「模倣」とそっくりな作品だったとしたら、画家は自ら仕上げた新しい作品を、創造性の発揮だと考えられるでしょうか。既存コンテクストから抜けきれない、自身による模倣だと感じないでしょうか。

ディープラーニングがもたらすものは、人間と同じ創造性だけではなく、人間が持つ創造性への問いかけになるとも思うのです。特に、SFなどに出てくる「アイデアを伝えるだけで最終的な作品を仕上げてくれる」AIが誕生した時に(音楽でも絵画でも)、さらにディープラーニングで「既存コンテクストを脱したアイデア」を抽出できる時代が到来すると、芸術とは、創造性とは一体何を指すことになるのでしょうか。


セミナーでは、人間の脳と同じほど「ブラックボックス」として複雑性を増していくAIが社会をどう変える可能性があるかについて、自動運転車などに限らず様々な角度から思索されている内容をお伝えできればと思います。セミナー後にも、また追加情報などについて当ブログでもお伝えしていくつもりです。

 

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